小売業の陳列棚の将来と各企業の取り組み事例を紹介
今回は、小売業の陳列棚の将来と各企業の取り組み事例を紹介します。
小売業の陳列棚は将来どのようになるのか?
小売業における成長課題
小売業にとって店舗は、重要で大きな比重を占める投下資本であり、ROI向上のためには売り場スペース、ひいては棚や単位スペースから得られる売上や利益を最大にすることが期待されます。従って、棚や単位スペー スが持つ販売力を把握し、最適商品配置を行うことが、これまで以上に求められています。
出典:https://www.cloud-for-all.com/dx/blog/display-shelf-of-retail.html
商品陳列の意義と目的

店舗に訪れた顧客は、買うものが明確に決まっている場合を除き、店内を回遊しながら何を買うかを選びます。目に入ったものを手に取ったり、複数の商品を比較したり、値段が妥当かどうかを考えたりといった行動が想定されます。また、時には買うつもりは無かった商品に気が付くこともあるでしょう。 たとえ買うものが決まっていても、お目当ての商品を見つけるまでは店内を移動することになります。ならば、そこに至るまでの商品陳列を工夫しておくことで、売れ筋の商品をおすすめしたり、関連する商品をついでに買ってもらったりすることも可能になるでしょう。
将来の商品陳列を変える電子棚札(リアルタイムで情報が可変する)
電子棚札とは、商品棚に掲示される値札を従来の紙からデジタル化したものです。ESL(Electronic Shelf Labels)とも呼ばれます。 一部小売店では導入され始めていますが、将来的に商品ごとの棚札(プライスカード)のデジタル化が進むでしょう。 オンラインから作業することで、リアルタイムに値札の金額を変えたり、商品情報の更新などが行えるようになります。
タイムセールや閉店前の割引対応も、いちいち手作業で値札を貼り替える必要はありません。しかも事前にアプリに買いたい商品を登録しておけば、その商品が陳列されている棚の場所が表示され、商品の前に行くとタグが点灯、商品をスキャンすればセルフ精算まで可能となります。単に陳列棚自体がデジタル化されるだけでなく、在庫や売れ行き、顧客情報、商品ごとの情報などが総合的に運用されることになるのです。
陳列棚の在庫確認自動化にAI品切れ検知ソリューション/フューチャースタンダード
AI品切れ検知ソリューションでは発想の転換で、商品そのものではなく「棚などの背景情報」を学習することで、在庫が何%あるかを把握する仕組みを開発。この仕組みは、今までの「商品そのものを学習させる方式」と比べ、およそ94%(当社比)の学習・解析コストの削減に成功しました。さらに判定可能範囲も2倍以上の広範囲となります。 時系列に沿って在庫率を可視化できるため、機会損失の低減だけでなく棚割の最適化など様々な売上向上施策に利用できます。

出典:画像:https://aismiley.co.jp/ai_news/future-standard-inventory-check-ai/
各企業の取り組み事例をご紹介
最適な棚割りや商品陳列をAIと仮想空間技術で解決
株式会社Xと富士フイルムシステムサービスでは、フランチャイズ本部の運営課題を仮想空間技術で解決するためのメタバースシステムを開発。VRゴーグル不要で、フランチャイズ加盟企業様が既に導入しているスマートフォンやiPad等の業務端末にインストールできるアプリケーションとして提供。iPad等の業務端末のカメラを利用し、画面に表示すると商品の売行き情報やトレンドが表示されたり、そのまま本部へ発注できる機能を用意。さらに、過去の売り上げデータやキャンペーン情報をもとにAI解析し、最適な棚割りを提案。商品のキャンペーン情報表示だけでなく、棚の並べ替え自体もサポートすることで、さらなる業務改善につなげます。



出典:画像:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000052.000081404.html
来店者分析ソリューションでお客様のニーズを知ろう!
ブックオフコーポレーション様では、今後のトレンドで考えても店舗の来店客数は減っていく可能性が高いと考えていました。ECがここまで増えてくると、低価格だけでは戦えない。リアル店舗だからこその価値が求められていると。 以前に若い客層を取り込むために行った施策は、効果が出ませんでした。結果がすぐに判れば、次の施策に取り組むスピードが上がります。PDCAサイクルを早めることにとても良い影響があると考えました。そこで、大崎電気工業株式会社から来店者分析ソリューションstorewatchを採用し、新しく投入した広告やCMの効果測定、現場のコンセプトやレイアウト変更の検証などを行いました。POSデータでは取れない店舗のリアルな数値を把握することは、来店客数が減っている今だからこそ必要と感じているようです。
出典:画像:https://storewatch.biz/store_analysis.html?gad_source=1&gclid=EAIaIQobChMI7sqTkPDwiAMVrxJ7Bx1KpjIAEAMYASAAEgLSe_D_BwE/
エクサウィザーズとスギ薬局、AI活用で店内の陳列商品を最適化
人工知能(AI)を活用したサービスを展開するエクサウィザーズはスギ薬局と共同で、小売業向けの「品揃え最適化AI」を開発し、調剤併設型ドラッグストア「スギ薬局」で運用を開始したと発表しました。同システムの機能には、「品揃えパターン生成」と「代替可能性分析」があります。

品揃えパターン生成では、数理最適化技術を用いて、対象商品リストや売上情報などを基に売上効率を上げる商品の組み合わせを自動で算出する。ドラッグストアをはじめ、小売店で取り扱う多種多様な商品カテゴリーに対応しており、売場生産性を向上させることができます。

代替可能性分析では、対象商品の過去の購買傾向をAIが解析し、類似した商品を特定するとともに、ある商品に対して別の商品を購入する可能性を算出します。それによって、カットしても売り上げが減少しづらい商品構成を実現し、売れ行きが良い商品を増やすなど、売場効率を高める施策が実施できるようになります。
出典:画像:https://japan.zdnet.com/article/35181731/
まとめ
今回は、小売業の成長のために陳列について改めて意義を整理し、将来像として、AIを使った電子値札や品切れ検知ソリューションを記載しました。また、最適陳列やレイアウト変更の効果測定などの事例を記載しました。店舗内のDX化はますます進化を遂げており、小売店の生産性向上をお考えである方はご参考にして頂けますと幸いです。