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改めて考えておくべきBCPとリスクマネジメントと各場面の取り組み事例を紹介

IT知識

今回はBCPとリスクマネジメントについてと各場面の取り組みをご紹介します。

事業継続の課題

2024年1月に発生した能登半島地震や8月の南海トラフ地震の想定震源域規制、台風10号による全国各地での記録的豪雨などの自然災害、2020年に始まった新型コロナウイルス感染症のパンデミック、国際紛争に伴うサイバー攻撃増加による顧客データの漏洩など、予期せぬ事態がもたらすビジネスリスクの存在を浮き彫りにしました。また、我が国の労働災害は減少傾向の中、小売業では、減少の兆しが見られません。

BCPとは

こうした状況に対処するため、被害を最小限に抑えて重要な業務を継続させる、事業が中断した場合、できる限り短期間で復旧させたりするための方法、体制、手段などを取り決めた行動計画書が「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)」です。

BCPを作成することで、不測の事態でも有効な対処が可能となります。

IT-BCPの重要性

IT-BCPとは、企業が災害や事件・事故等に遭遇した際に、事業の継続に必要なITサービスを継続あるいは早期復旧させるための計画のことです。

現在、情報通信技術の発達や低コスト化により、事業におけるIT活用が進み、事業継続マネジメント(BCM)の中からITの要素を取り出して、個別にマネジメントしていくことが重要視されているのです。

財務会計システムや販売管理システムといった基幹業務システムをはじめ、電子メールやスケジュール管理など、停止すると業務に支障をきたすITサービスの範囲と依存度を明確にして対策を講じるよう勧めています。

出典:https://www.obc.co.jp/360/list/post40

小売業における労働災害

我が国の労働災害は長期的には減少傾向にありますが、小売業を取り上げてみると、労働災害は減少の兆しが見られません。小売業には、総合スーパー、食品スーパー、ホームセンター、無店舗販売など様々な業態があり、労働災害防止を推進するためには、それら業態の特性を踏まえる必要があります。

出典:労働安全衛生総合研究所 : https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku/pamphlet_retail_1701.pdf

卸小売業のBCP対策事例

株式会社メディパルホールディングス様

神奈川県に本社を構える、医薬品卸事業者、株式会社メディパルホールディングスでは、阪神・淡路大震災で従業員の犠牲者や社屋倒壊の経験からBCPを意識し、災害対策のマニュアルづくりに着手されました。同社が重視したポイントは、災害時でも迅速に医薬品の配送ができるバイク便の配備、免震機能や自家発電装置を備えた物流拠点の整備。さらに、全国にある営業拠点でも非常用電源の導入を順次開始。これにより、停電時の在庫確認や温度管理・出荷システムの稼働を可能にし、物流センターに配送指示を遅滞なく行うことを目指されています。

出典:株式会社 STNet業種別BCP対策の事例に見るBCP対策の重要性 https://www.stnet.co.jp/business/know-how/column006.html

ヱトー株式会社様

精密メカニカル・パーツから自動化設備までさまざまな製品を提供する技術提供型商社のヱトー株式会社では、東日本大震災の発生当時100%人力で安否確認を行い、全国各地で災害が起こる度状況把握に膨大な時間と手間が掛かっていた。そこで、トヨクモ株式会社の「安否確認サービス2」を導入し、安否確認の作業を自動化、属人化の解消を目指す。導入後は、担当者1名でも広範囲の安否確認や状況把握が可能となるだけでなく、2時間以上かかっていた初動対応が15分以下になり、そのための時間外労働がなくなったという。

出典:トヨクモ株式会社_導入事例 https://www.anpikakunin.com/case/eto

電源補給サービス/Panasonic様

Panasonicでは法人向けに可搬型バッテリー「イーブロック」の20日間無料貸出しサービスを実施しており、インフラ復旧までの電源補給サービスを実施している。

出典:画像:Panasonic https://www2.panasonic.biz/jp/energy/chikuden/e-block/free-rental/

食品スーパーマーケットA社での労災対策事例

A社では、様々な取り組みを行い、令和元年には平成29年度比20.9%の労働災害が減少した。

①従業員への安全教育:月1回、従業員は各自で安全操作マニュアル等を読み直し標準作業を再確認する。また、e ラーニングを活用した定期安全教育を実施。ヒヤリハット事例は、改善事例登録システムにより全店舗で共有を図っている。

②朝礼・午後礼・夕礼による安全意識の啓発:1日3回、朝礼・午後礼・夕礼を実施し、その中で、週1回、安全意識の啓発を行っている。その内容は本社品質安全部で、繁忙期や季節特性、労働災害の発生傾向等を踏まえて作成している。

出典:画像:労働安全衛生総合研究所 https://jsite.mhlw.go.jp/hyogo-roudoukyoku/library/20173kourigyou.pdf

まとめ

内閣府が発表した令和5年度業種別事業継続計画(BCP)策定状況によると、小売業のBCPを策定した企業の比率は34.7%と低い状況です。しかし、実際の災害発生時には、最も重要なライフラインとしての役割を果たしているのも小売業であり、災害後の復旧を支えるのも材料卸売業の重要な役割であると言えます。上記の様な取り組みで、小売業にも積極的な取り組みが求められています。

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