今回は「守りのDX」についてと各企業の取り組みをご紹介します。
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小売業界の新たな潮流:4つの重要なDXトレンドのご紹介
小売業界が直面する喫緊の課題を解決し、持続的な競争優位性を確立するための4つの重要なDXトレンドを10月から4か月にわたり連載でご紹介しています。いずれも、貴社の経営層や現場の皆様が日々の業務で実感されている課題に直接応えるものであり、単なる情報提供を超えて、具体的な変革のヒントとなることを目指しています。第3弾は「守りのDX」です。
なぜ今、バックオフィスDXなのか?
小売業界におけるDXは、しばしば顧客との接点に集中しがちです。しかし、2024年以降、バックオフィス(経理、人事、総務など)の業務効率化に焦点を当てたDX、いわば「守りのDX」が重要な経営戦略として位置づけられています。この背景には、日本全体で進行する労働人口の減少と、それに伴う店舗運営や管理部門の慢性的な人手不足という喫緊の課題が存在します。ルーチンワークに多くの時間を費やす現状を打破し、従業員をより付加価値の高い業務に振り向けることが、企業の存続と成長にとって不可欠となっているのです。
<出典:経済産業省「DXレポート」および、近年の小売業界におけるIT専門誌の動向解説に基づき作成>
バックオフィスDXのメリット
バックオフィス業務のデジタル化を進めることで、企業は複数メリットを享受できます。
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 生産性向上とコスト削減 | 手作業や紙ベースの業務を自動化・電子化することで、作業時間が大幅に短縮され、人件費や印刷・郵送費などのコストも削減できます。 |
| 正確性の向上と属人化の防止 | システムによる自動処理はヒューマンエラーを減らし、業務の正確性を担保します。また、業務フローが標準化されるため、特定の担当者しか業務を遂行できない「属人化」を防げます。 |
| 多様な働き方の実現 | クラウドサービスを活用することで、社外からのアクセスが可能になり、テレワークなどの柔軟な働き方をサポートします。これは事業継続計画(BCP)の観点からも重要です。 |
| コア業務への注力 | 定型業務が削減されることで、従業員はより戦略的な企画業務や他部門への支援といった付加価値の高い業務に集中できるようになります。 |
<出典:https://aladdin-office.com/column/column47/>
バックオフィスDXの進め方
以下の5つのステップで、失敗なくDXを進めることができます。
- 1.現状分析(業務の棚卸し)
どの業務に無駄や非効率、属人化があるかを洗い出し、可視化します。いきなりツールを導入するのではなく、現状を正確に把握することが第一歩です。 - 2.業務見直し(理想のフロー設計)
現状の業務フローから重複や非効率な部分を削減し、システム導入を見据えた理想的な業務フローを設計します。 - 3.システム選定
自社の課題や目的に合った最適なシステム(例:会計ソフト、勤怠管理システム、RPAなど)を比較検討し、選定します。 - 4.導入と定着支援
システムを導入した後、マニュアル整備や社内研修などを実施し、従業員への丁寧なフォローを通じて新しい業務プロセスを定着させます。 - 5.効果測定と改善(PDCA)
導入効果を定期的に測定し、課題があれば改善を加えてPDCAサイクルを回します。
<出典:https://aladdin-office.com/column/column47/ >
小売各企業の取り組み事例をご紹介
ラッシュジャパン合同会社/FAQ導線の整備によりラッピングの売上が1.2倍アップ

自然派ハンドメイドコスメの草分け的存在である「LUSH(ラッシュ)」。英国発のナチュラルコスメブランド「LUSH」は日本で77店舗展開している。繁忙期は電話やメールを含めて月間3,200件もの問い合わせを10人で対応している状況。特に配送やオーダーの仕方に関するお問い合わせなどは、注文後にメールでいただくことが多く、お客様のご要望に沿えないこともあった。
購入数が増えても問い合わせを抑制できる仕組みづくりの一環としてFAQを既存システムから株式会社Helpfeelの「Helpfeel」に移行。
導入初月からお問い合わせ率が前月比で約24%から約19%と、4%近く減少、その後もご注文数は増えているが、お問い合わせ率は導入前と比較するとリリースから4ヶ月で10%近く削減。また、ご注文数は増えていても、お問い合わせが削減したので、人員は増やさずに複雑なお問い合わせなど注力すべき顧客対応に時間を割くことができるようになり、お客様のご要望にも、より対応できるよう変化した。
<出典/画像:https://www.helpfeel.com/works/lush-ec>
株式会社山一商店 様/業務集中の課題をチャットボットで解決

日本全国で正月飾りとお盆用品、そして神棚用のしめ縄を取り扱う山一商店。正月飾りなどは、各地域の文化の差によりさまざまなカタチが存在し、アイテム数は正月飾りだけでも500を超え、季節商品の取り扱いが中心であるため、特に年末年始に問い合わせが集中して対応のために残業が発生。取引先対応や社内業務が圧迫され、従業員の負荷が増大していた。
問い合わせ対応の負担を軽減するためにホームページ全面リニューアルに併せて「RICOH Chatbot Service」の導入を決定した。これにより、問い合わせ数が50%削減できただけでなく、消費者からの問い合わせデータを分析し、ニーズに合った商品開発を実施できた。また、ホームページ上でのチャットボット導入が企業の信頼性向上につながり、新たな商談の機会を創出した。
<出典:https://www.chatbot-pedia.com/case/retail-industry.html>
<画像:https://www.yamaichi-kk.co.jp/>
有限会社ゑびや 様/ITを経営の軸として経営革新を実践する「経営革新企業」に転換

三重県伊勢市で商店や和食堂を営む創業150年の老舗である有限会社ゑびやは、DXによって非効率的な従来の体制をイノベーションした。これまで、そろばんと手書き会計での帳簿など、効率が悪い体制が続いており、人員不足や独自性の欠如などから、事業縮小が真剣に検討されていた。
そこで、従来の紙で管理していた帳簿をエクセルに変更するために、IT知識のないDX担当スタッフを、勤務時間を全て勉強に充ててリテラシー獲得に集中させた。また、飲食担当スタッフからもITやDXに興味があればジョブチェンジを推奨し、知識ゼロからでもプロのIT担当へ教育。また、自社開発の「TOUCH POINT BI」により、子どもがいる従業員が休みを柔軟にとれるように。さらにカメラ設置などの工夫から、従業員同士での仕事量の可視化を進めることで働きやすい環境を構築した。これらの結果、社員満足度が全国平均を大きく上回り、業務全体の効率化も達成。結果として、ゑびやグループ売り上げが約8倍にUPした。
<出典:https://metaversesouken.com/dx/dx/smes-success-stories/>
<画像:https://prtimes.jp/story/detail/pb39nGCwvyx/>
まとめ
今回は、小売業界が競争力を生むために重要な「バックオフィスDX」をご紹介しました。中小企業がビジネスを維持拡大するうえで、店舗スタッフの満足度向上による定着率向上のみならず、顧客満足度向上により、売上向上にもバックオフィスが貢献できそうです。ご興味をお持ちの内容についての詳細は、各サイトをご確認き、小売店の事業価値向上の参考にして頂けますと幸いです。

