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AIを活用したパーソナライズドマーケティング:小売業の売上向上と各企業の取り組み事例を紹介

今月は「小売業のパーソナライズドマーケティング」についてと各企業の取り組みをご紹介します。

最近注目の小売業でのパーソナライズドマーケティングとは?

パーソナライズドマーケティングとは

パーソナライズドマーケティングとは「大衆(マス)に向けて画一的な情報やサービスを提供する」ことではなく、「一人ひとりの属性や嗜好、購買や行動の履歴などにあわせて、最適な情報やサービスを提供する」マーケティング手法のことを指します。AIの活用により、リアルタイムでのデータ分析が可能となり、顧客体験をより精緻にパーソナライズすることができます。

<出典画像:https://www.cheetahdigital.com/ja/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/jp-what-is-personalized-marketing/>

今パーソナライズ化が求められる背景

消費者ニーズが多様化している中、消費者が「自分に合った情報」を求める傾向が強まっており、そのニーズに応えるためにパーソナライズ化が重要視されています。また、今注目されている背景として、AIやビッグデータ解析といった技術の進化も大きく影響しています。以前は技術的に難しかったパーソナライズが実現可能になり、消費者に対して個別最適化された商品やサービスを提供できるようになりました。

<出典:https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/category/apparel/sp/solving-problems/archive/241030-02.html>

パーソナライズ化の代表的な手法

パーソナライズ化の代表的な手法は、次の5つがあります。顧客との関係強化や売上向上にあたってどの手法を用いるのが最適なのか、状況に応じて検討してみてください。

パーソナライズド広告ユーザーの過去の行動履歴から個別に最適化された広告を表示する
例:革靴でWeb検索した人に、自社が製造する革靴の商品を案内する
SNSのパーソナライズ表示ユーザーの過去の行動履歴や、フォローしている層などを基に、SNS上で表示されるコンテンツや広告を個別に最適化する
例:特定の芸能人の情報を好んで見る層に、その芸能人がアンバサダーを務めるブランドの商品情報を表示させる
パーソナライズドメールユーザーが過去に閲覧・購入した商品に基づいて、関連する商品を提案する
例:Tシャツを購入したユーザーに、同じメーカーの別のTシャツを提案する
コンテンツのレコメンド表示同じ趣味・嗜好を持つ別のユーザーが選んでいるコンテンツをおすすめする
例:10代女性向けのブランドAの商品を購入したユーザーに、同属性の他のユーザーが選んだ10代女性向けのブランドBを提案する
パーソナライズされた商品の提供完全に個人のニーズに合わせた商品やサービスを提案する 例:あるユーザーの登録した体のサイズに合わせて、フィットするトップスやボトムスの商品を表示させる

<出典:https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/category/apparel/sp/solving-problems/archive/241030-02.html>

パーソナライズ化によって得られる主なメリット・効果

消費者に合わせたサービスや商品の提供により、顧客満足度が高まります。個人に最適化された対応は企業と顧客との信頼関係を深め、リピーター獲得につながるでしょう。リピーターとなった顧客は、いわば企業の「ファン」として、その企業の商品やサービスを優先的に選ぶようになり、他社に乗り換える可能性も減少していきます。口コミなどを通じて商品やサービスをアピールしてくれるので、新規顧客の獲得にも役立ちます。また、パーソナライズ化により潜在顧客に対してもニーズに応じたアプローチができるので、新規購入に至りやすく、顧客の増加も見込めます。さらに、これらを通じて収集した顧客のデータを基に、より正確かつ効果的なマーケティングが可能になり、コスト削減や施策の効率化にもつながります。

<出典:https://www.otsuka-shokai.co.jp/erpnavi/category/apparel/sp/solving-problems/archive/241030-02.html>

各企業の取り組み事例をご紹介

診断コンテンツでECへの誘導が約3倍に/よーじやグループ様

「あぶらとり紙」で有名な「よーじやグループ」は、株式会社ピクルスの診断コンテンツ生成ツール「ヨミトル」を導入し、ECサイトへの誘導が約3倍、カートへの遷移が1.3倍に改善。新フェイシャルケアブランド「su-ha(すーは)」では、お客様の好みの使用感や肌悩みに応じて、全8アイテムからカスタマイズができるが、自分に最適なものを選ぶことに悩むこともあった。お客様が診断コンテンツの質問に回答すると、肌の状態やケアに関するアドバイスが表示され、その結果に基づいた最適商品が提案されるような診断により、ECサイトと店舗の両方で「選択」「提案」をスムーズに行え、結果として効果的かつスムーズな接客が可能になり、顧客満足度の向上にもつながった。

<出典:https://business.ntt-east.co.jp/bizdrive/column/dr00121-011.html>

顧客行動データの統合活用で売上計画142%達成/アシックスジャパン株式会社 様

アシックスジャパンでは、富士フイルムBIの「Marketing Cockpit」を採用し、各部署でバラバラに運用していたPOS、WEBサイト、ECなどからの顧客データを統合し、OMOでのデータ活用、パーソナライズされた顧客アプローチが効果的な販促施策設計の鍵に活用。クリエイティブにおいても、明確に統合された顧客行動データの分析から、訴求ターゲットの『顔』が鮮明になり、より『ターゲットに刺さる』クリエイティブワークが可能になり、PEDALA RIDEWALK(ペダラライドウォーク)の販促DMにおいては、DMを店舗に持参されるお客様も多く、多数の店舗からサイズ欠品(売り切れ)が発生するほどで、ROI前年比125%、売上計画比142%を達成。

<出典:https://www.fujifilm.com/fb/solution/ondemand/navigation-mktg/column-jirei-20231010/>

一人ひとりに合ったお菓子の詰め合わせを届けるサービス/株式会社スナックミー 様

 お菓子のサブスクリプション「snaq.me(スナックミー)」では、ユーザーの好みを知るためのアンケートの結果や、送付したお菓子への評価などのデータをもとに、一人ひとりに合ったお菓子の詰め合わせを届けるサービスを提供しています。誰にでも同じものを提供するのではなく、個人の好みに合わせてパーソナライズした商品やサービスを提供すると顧客満足度は高まります。

<出典:https://www.cheetahdigital.com/ja/%E3%83%96%E3%83%AD%E3%82%B0/jp-what-is-personalized-marketing/>

まとめ

今回は、なかなか効果が得られなくなってきた従来のマスマーケティングから、個々のお客様により深く受け入れられるパーソナライズ化への移行についてご紹介しました。AIの登場により、様々な顧客データ分析が求められるこのマーケティングを実現しました。小売業におけるパーソナライズドマーケティングへの取組に、どんなメリットがあるのか?事業活動のどこに着目したらよいのか?どのように取り組んでいるのかなどをご紹介しました。ご興味をお持ちの領域についての詳細は各サイトをご確認き、小売店の事業価値向上の参考にして頂けますと幸いです。

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