活躍の場を広げるAI。顧客サービスや防犯にも活用!
年々活躍の場が増え、世間にも浸透してきた『AI(人工知能)』についてご紹介します。AIシステムへの投資額の増加についてと、AIを活用した事例を3つご紹介いたします。
2019年予測─ AIシステムへの支出額は44.0%増(日本市場でも順調に支出拡大が見込まれております)
IDC Japan(東京都千代田区)は、世界全体の人工知能(AI)システム市場の支出額予測を発表しました。2019年の支出額は358億ドルに達し、2018年の支出額から44.0%拡大すると予測しております。また、2022年には2019年の2倍以上の792億ドルに拡大し、2018~2022年の年間平均成長率(※1)は38.0%になるとのこと。2019年に最大の投資が見込まれるAIのユースケースは自動顧客サービスエージェント(全世界で45億ドル)、自動営業プロセスリコメンデーション(27億ドル)、自動脅威インテリジェンス/予防システム(27億ドル)となっております。その他では、2019年に20億ドルを上回る支出額が見込まれる5つのユースケースとして、自動予防保全、診断治療支援システム、不正行為分析/調査、インテリジェントプロセスオートメーション、プログラムアドバイザー/リコメンデーションが挙げられております。
地域別では、米国が主に小売と銀行の産業分野で2019年のAIシステムに対する全支出の約3分の2を占めると予測されています。また、5年間の予測で最も好調な支出拡大が見込まれているのは日本(58.9%のCAGR)とアジア太平洋(日本と中国を除く51.4%のCAGR)で、中国(49.6%のCAGR)もこの予測期間において好調な支出拡大が予測されるとのことでした。私たちの身近にも日々浸透しつつあるAI。今月はその技術を活かしたシステムや最近生まれたサービスについてご紹介を致します。
※1 CAGR:Compound Annual Growth Rate
事例紹介
AI解析によって安全な職場の環境づくりを目指す(万引き防止AI「VAAKEYE(バークアイ)」がリリースされました!!)
カメラ解析人工知能(AI)スタートアップの株式会社VAAK(東京都千代田区 / 代表取締役 田中 遼)は、万引き防止システム「 (バークアイ)」の正式版を2019年3月より販売開始しました。
「VAAKEYE」とは
万引き防止システム「VAAKEYE」には店舗での不審行動や万引き行動を自動的に検知しお知らせする機能を持っており、防犯カメラの映像をAIで解析することで、人間の詳細行動の検知を可能とする技術が強みとなっております。
人間の歩幅や関節の動き等、100以上のポイントを分析することで明らかな不審行動だけではなく複雑な行動についても検知ができます。「VAAKEYE」は、2018年3月にベータ版が提供されました。以後、複数の大手企業の小売店舗で実証実験を行ったところ、万引き被害額は77%削減し、万引き対策時間は96%削減という実証結果となりました。
なお、同年12月には「VAAKEYE」により検知した映像情報で万引き犯が逮捕へと至るという事例もあり、このような実証結果とお客様からのご好評の声が後押しとなり、今般「VAAKEYE」正式版をリリースすることになった模様です。
今後の展開
「VAAKEYE」を通じて万引きの早期発見による現行犯逮捕・後日逮捕のみならず、万引き行動の可視化による店舗全体の防犯意識の向上や様々な面から生まれる抑止効果によって「万引きできない店舗」の実現が期待されます。既に10万店舗を超える見込み顧客が存在しており、万引きの防止だけではなく、より広範な社会課題に対するソリューションへと成長させることで犯罪や事故の無い豊かな社会の創造を目標としているとのことでした。
「VAAKEYE」の導入により
当店は実証実験店舗として、「VAAKEYE」のサービス開発に協力して参りました。
常にAIが店舗を見張っていてくれる安心感があるため、スタッフは万引きについて心配をすることなく接客に集中できています。棚卸しの際、万引きによる商品ロスが減少したことを決め手に「VAAKEYE」の導入を決定しました。
今回の正式版の販売により、「VAAKEYE」を通じて、さらに多くの店舗に安全な環境が提供されることを期待しています。(40代女性・複数のコンビニ店舗経営者様)
AIがレシピを提案! “ココロとカラダ” 健康に(買い物した食材の栄養を自動で“見える化”)
その一環として、シルタス社が開発したスーパーマーケットのPOSデータと連動させることで買い物データを自動的に取り込み、栄養素に変換して最適な食生活を提案できるスマートフォン用アプリ「SIRU+」を活用した健康管理サービスの開始に至りました。
同アプリは、神戸市がスタートアップの新技術による将来的な市民サービス向上を目指す実証事業「Urban Innovation KOBE+P(アーバン イノベーション コウベプラスピー)」において、2019年3月に第1号認定事業として採択されました。
今回、ダイエーが神戸市内で展開している13店舗において、買い物された商品をレジで精算される際にイオングループの共通ポイントカード「WAON POINTカード」をご提示いただくと、購入した食材の栄養素が自動的にお客様の「SIRU+」に登録され、偏っている栄養素や 不足している栄養素を把握できるとともに、健康的な暮らしに最適なおすすめレシピを見ることができます。煩雑な操作や手間のかかる記録が一切不要で、ポイントカードを提示して日々のお買い物をするだけで栄養状態をチェックできる手軽さが最大の特徴のサービスとのことです。
※参照:http://www.daiei.co.jp/indexes.php/corporate/release_detail/1380
AI“店員”による接客が店舗運営の効率化へ(お客様の好みをしっかりと判断します)
株式会社SPJ(東京都千代田区 / 代表取締役 江口 天)は、人工知能接客システムをリリースしました。小売業の接客でよく使われている単語や業務、対話内容に優先順位を付け対応頻度の高い対話を重点的にAIに学習させることで高精度な対話システムを実現しました。店頭に設置されたデジタルサイネージにCG化された「AI店員」が表示され、その店員と会話することで接客が行われます。以下、生花店での導入事例が挙げられております。
来店したお客様がAI接客システムが搭載されたタブレットに「こんにちは」と声をかけると、画面の中の店員のイラストが動き「いらっしゃいませ、かわいいブーケをつくってみませんか」と音声で答えます。幾つかのやり取りの後、画面に3種類の花の画像が現れ「この中からお好みの花をお選びください」と質問します。このシステムが優れているのは、たくさんの花の中から3種類の花に絞り込んだところにあります。3種類の花を選ぶ過程は以下の通りです。このシステムにはカメラが内蔵されており、お客様を撮影して性別や年齢層を推測します。その基本情報に各質問で得た回答を加えて顧客情報を作りあげます。そして、過去の顧客情報から、今、獲得した顧客情報に似たものを探し、その時に売れた花を目の前の客に推薦するというものになります。この「過去の顧客情報から」の行動は、人間の店員が知識と経験と記憶からお客様が好みそうな花を推測することと同じ原理となります。