年々身近になる『AI』 店舗での様々な活用をご紹介
成長を続け年々身近な存在になっているAI(人工知能)。今回は、AIを活用した店舗施策の事例3つをご紹介します。
年々成長し続けるAI|2021年のITキーワードの1つに
IDC Japanは12月17日、「2021年国内IT市場10大予測」を発表しました。 その中の一つ目に取り上げられたのが、本ニュースレター前号(vol.46)で取り上げた『DX(デジタルトランスフォーメーション)』でした。2020年の国内IT市場は新型コロナウィルスの感染拡大に大きく影響を受け、国内企業の業績悪化に伴うIT支出の減少の一方、国内企業のデジタル化、DXを加速させるという面も持っていたとされています。
そして2つ目に取り上げられたのが『AIによる自動化』になります。AIというと数年前よりメディアで多く取り上げられるようになり注目され、近年様々な形で企業や消費者に身近なところで実用化されています。
今号では改めてAIとは何なのか、どのような活用が広まっているのかをお伝えいたします。
AIとは?その定義は?|「自律性」と「適応性」がAIの定義
AI(人工知能)とは「Artificial Intelligence」のことだが、一口にAIと言っても研究者によってその定義は違い、現在でも様々な捉えられ方をしています。
その中でも、以下の2点は共通認識の大きな特徴と言えます。
- AIの自律性(Autonomy)⇒常に人間による誘導なく作業タスクを実行する能力
- AIの適応性(Adaptivity)⇒経験から学ぶことでパフォーマンスを向上させる能力
また、現在のAIができること(機能)は、大きく以下の5つに分類されます。
- 画像認識
- 音声認識
- 言語識別
- 制御
- 予測
一般消費者にも認知されている取り組みとして、自動車の自動運転や、飲食店等でも活躍するロボット「Pepper」等、様々なAI技術がありますが、基本的には上記の機能を応用したサービス・製品になります。
事例紹介
事例1.大手スーパーマーケット(AIを活用した「レジ混雑緩和」の取り組み)

大型スーパーを展開する株式会社ベイシアでは、AIの活用によって「レジの混雑解消」を図っています。元々ベイシアではレジの付近に「司令塔」と呼ばれる従業員を配置し、レジを待つ客が増えてきたときに応援を呼んでレジの稼働台数を増やすという対策を取っていました。しかし、目測の誤りや、スタッフが別業務にあたっており応援に行けない等の問題がありました。
そこでベイシアは、AIを搭載した店舗業務改善支援ソリューションを導入しました。このAIでは、司令塔となる従業員が持っているスマホに、15分後と30分後に必要となるレジ数を表示させることができます。店内に設置されているから監視カメラからAIが「客数」「性別」「年齢」などを判別し、必要となるレジ数の予測を行うというものです。このような情報を収集・学習させていくことにより、AIは「入店した客が何分後にレジに向かうのか」を予測する精度を高めていくことが可能になります。司令塔を配置しているだけでは「混雑し始めた段階」でしか対応することができませんでしたが、AIを導入することによって「混雑の予測」が可能になり、その結果、平均して約30秒程、お客様のレジ待ち時間が短縮したといいます。
※出典:https://businessnetwork.jp/Detail/tabid/65/artid/6302/Default.aspx
事例2.AIツールでのマーケティング支援(売上データ・日毎の情報をもとに需要を予測)

大日本印刷(以下:DNP)は1月20日、発売前の商品の売上予測シミュレーションや小売店舗でのテストマーケティングなどを行う「DNPテストマーケティング支援サービス」を開始すると発表しました。
同サービスは、利用する企業の自社商品・競合商品の店頭での販売価格、棚割り、店頭に設置する販促物等の施策による売上の変化を、あらかじめAIに学習させた多次元予測モデルを用いてシミュレーションします。発売前の商品の価格、パッケージ等の検討、他社商品との競合状況の把握、効果的な販促ツール等、トータルな施策効果を生活者が商品を支持する度合いを測る指針の一つ「PI値」で予測します。その上で、売上増のための効果的な棚割り・価格・商品パッケージ・販促物について、最適な組み合わせパターンを提案することができます。
事例3.飲食店(AIによる接客でコロナ対策も実現)

飲食店EGGS’N THINGS JAPANは自律した会話が可能な非接触オーダーシステム「AIアバターレジ」の店舗実証実験を行いました。 「AIアバターレジ」は、店員の代わりにモニターに映っているアバターと来店客が会話することで、タッチパネル等の物理的な接触が必要な端末操作を必要とせず、料理を注文することができます。
シナリオ通りの対応に限らず、顧客が発言した省略した注文等の内容も理解して応答します。また、顧客の言葉だけでなくアバターが会話で顧客を誘導し、情報を補い、注文に至るまでの流れを会話のみで成立させる仕組みです。さらに、スタッフがAIアバターに対して話しかけることで、店舗毎に異なる応対を学習させることも可能です。
同社ではその他にも、①オンラインで時間指定・注文・決済の上、店舗でテイクアウトができる「事前注文システム」や、②テーブル上にある QRコードからメニューを読みとり、オンライン上で注文・決済できる「テーブルオーダーシステム」、③レジで会計を済ませた顧客が、どのテーブルに座っているかを店舗従業員が店舗のタブレット上で把握することができる「カスタマートラッキングシステム」等、様々な仕組みを導入しています。