環境問題【カーボンニュートラル】についてと注目の取り組みを紹介
環境問題のなかでも注目されている【カーボンニュートラル】についてどのような取り組みがなされているのかをご紹介いたします。
カーボンニュートラルについて
カーボンニュートラルとは、GHG(温室効果ガス)の排出量と吸収量が均衡し、差し引きゼロになっている状態を言います。
2020年より、気候変動問題に対する国際的な枠組みである「パリ協定」の本格運用が開始されました。
パリ協定が目指す「世界の平均気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑える」には、大気中に排出される温室効果ガスを2050年には世界全体で実質ゼロにする必要があるとされています。
※出典:https://shouene-kaden2.net/learn/carbon_neutral/
気候変動リスクの情報開示が義務化に
世界的な環境問題に背景に2015年にG20からの要請受け、TCFDと呼ばれる国際的な組織が設立されました。
TCFDでは、企業に経営における要素として気候変動情報を開示するように求めており、世界各国では脱炭素への取り組みへの情報開示が広まっています。
日本でも2022年4月以降、プライム市場の上場会社のおいてはTCFD提言に沿った開示が実質的に義務化されました。 その為、今後TCFD提言に沿わない企業は、金融機関からの融資が受けられなくなる他、投資家からの出資停止や取引先からの取引停止等、大きな影響が起こる可能性があります。
※TCFD【気候関連財務情報開示タスクフォース】:各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨する、国際的な組織のこと
※出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB2523Q0V20C21A7000000/
上場企業だけでなく中小企業も脱炭素への取り組みが必要に
ドイツの自動車メーカーのメルセデスベンツでは、2020年12月に、2039年にカーボンニュートラル未達となるサプライヤーを取引先から除外する方針を公表しております。日本でもトヨタ自動車が関係協力会社を中心に、2021年の目標としてCO2排出量前年比3%を要請している他、ホンダも2019年度比で年4%ずつ減らすよう要請しました。今後は上場企業と取引のある中小企業においても脱炭素への取り組みが必要となっていきます。
各企業の注目の取り組みをご紹介
国内初の脱炭素サービス「カーボンニュートラルシミュレーター」
アークエルテクノロジーズ株式会社は、国内で初めて可視化から脱炭素化への最適手法の提案までをツール内で自動化できる新サービス「カーボンニュートラルシミュレーター」を開発しました。
温室効果ガス排出量の見える化機能だけでなく、排出量削減施策の最適化アルゴリズムを利用したシミュレーション機能などもあるようです。
2023年4月以降に業種別(都市ガス企業・運輸企業・小売企業向け)のSaaS版の提供を開始する予定とのことです。
※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000031.000058244.html
従業員の通勤移動における脱炭素を実現
株式会社CUVEYESは、スマートフォンアプリ 「SPOBY(スポビー)」の新機能「法人版-脱炭素ウォーク」を2022年10月18日にリリースしました。
勤務時間の脱炭素量を計測し、リモートワーク時の排出抑制量もスコア化することができるようです。
従業員の健康、環境をはじめとした「SDGs」の観点から株式会社ニチリンや豊島株式会社などで「SPOBY」の導入を開始されています。 導入企業の1人あたり平均2.3万円分、医療費削減として効果があったようです。
※国土交通省:1日プラス1,500歩で年間医療費35,000円の削減効果より。
※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000029.000031367.html
※出典:https://spoby.jp/index.html
組織のカーボンニュートラル達成を支援
booost technologies株式会社は、「自動でのカーボンオフセット」が可能な脱炭素化クラウド(クラウド型脱炭素化プラットフォーム)「ENERGY X GREEN」の提供をしています。
自社の事業所・各店舗の電力使用量などのデータをインプットすることで自動でCO2排出量の算出を実現。脱炭素計画の立案から登録までをおこなうことにより自動でカーボンオフセット。非化石証書等の調達も自動で実行可能になるそうです。 オグラ金属株式会社(創立1922年)では気候変動を身をもって感じる機会が増え、地球規模の課題について立ち向かっていくことに意義を感じ、2022年5月に導入しました。
中小企業として脱炭素化にいち早く取り組むことで他社との差別化を図っていくとのことです。
※非化石証書とは、再生可能エネルギーなど非化石電源の「環境価値」を取引するために証書にしたものです
※出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000056793.html
※出典:https://green.energyx.jp/
まとめ
今後、深刻な地球温暖化が進みさらなる異常気象や気候変動が起こると考えられます。2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするため「カーボンニュートラル」への取り組みは必要不可欠となってきます。
また、世界各国では脱炭素への取り組みを義務化する流れが広がり、日本においても実質的な義務化となりました。今後は上場企業だけでなく中小企業などにも脱炭素への取り組みが求められ、事業を継続するにあたり環境対策は必須となります。